社会現象ともなった大人気アニメ「エヴァンゲリオン」
テレビ版が放送されてから20年近い年月が経過した今でも、新たな作品が打ち出され続け、注目を浴び続けている。
その中で、絶大な人気を誇るキャラクター「渚カヲル」
謎の多い彼の存在とその正体について考察します。
女性にも男性にも大人気の渚カヲルくん。
草食系のルックスながらも、シンジに対しては妙な好意を抱いて近づきます。
言っていることは少々難しく、一度見ただけではわかりにくいことが多いです。
しかし、このカヲルとシンジの存在と関係が「エヴァンゲリオン」には重要な部分で、人類の未来の分岐点です。
これを理解することでより一層エヴァが面白くなると思います。
渚カヲルとは?
生年月日:2000年9月13日
血液型:不明
所属:NERV ゼーレ
生年月日はセカンドインパクト同日で、シンジと出会った時の年齢はシンジと同い年の15歳。
アスカが戦えなくなり、フィフスチルドレン(五人目のエヴァパイロット)として、ゼーレからNERV(ネルフ)に送り込まれる。
髪の色はグレイで瞳が赤い色白の美少年。
プラグスーツは黒で、綾波と同じように過去の経歴のほとんどは抹消されている。
鼻歌でヴェートーヴェンの交響曲第9番を歌いながら夕焼けの瓦礫に座っているシーンが印象的。
初対面にも関わらず、シンジのことをよく理解し、好意を抱いて近づいてくる。
エヴァでは最も重要な人物
テレビ版の第弐拾四話と劇場版にしか登場しないが、シンジの心に大きな影響を与え、世界で起きていることを理解している人物で、本作の重要なキャラクター。
年齢には見合わない思考を持ち、発言は難しいためシンジはもちろん視聴者もなかなか理解しにくいものが多い。
しかし、このカヲルの難しい話の中に、エヴァの世界で起きていることの答えは集約されているため、最も重要なキャラクターであり、このカヲルの話していることこそがエヴァと使徒との戦いの真相を解く鍵なのです。
カヲルは歌が好きだった!
カヲルは歌や音楽に対して特別な思いを持ち、登場でも鼻歌を歌っている。
「音楽はリリンの生み出した文化の極み」とも表現し、人間たちの文化の素晴らしさを認めている。
カヲルが音楽や歌について発言しているのはこれだけだが、カヲルとの戦闘シーンでは第九が流れとても印象的な場面となっている。
そのため、カヲル=第九というイメージが強く、音楽好きのキャラクターが常に音楽とともにあるように表現されている。
シンジへの特別な好意
シンジの繊細な性格に惹かれて、特別に好意を見せいつも笑顔で話しかけます。
「君に会うために生まれてきたのかもしれない」とまで述べ、一見するとかなり異常な光景です。
これは、カヲルの正体を理解すればそれに繋がるものもわかりますが、カヲルのシンジへの思いは恐らくそれだけではなかったと思います。
人間へ近づいていく意味は、好意というよりは興味であり、シンジへの好意はそれとは違ったもの。
確実に特別な思いがあるように見えますし、ただ個人的に「好き」という感情が芽生えています。
これは、決して気持ちの悪いようなことではなく、「生命体を超えた友情」といったものだったのではないでしょうか。
シンジはなぜカヲルを殺したのか?
カヲルはシンジに好意を持ち、シンジもまたカヲルのことを悪くは思っていません。
二人の関係は良好なようにも見えますが、なぜシンジはカヲルを殺してしまったのでしょうか?
カヲルはいつも微笑んでいますが、セントラルドグマまで突破してリリスの姿を見た時に表情は一変して笑顔が消えます。
アダムを求めて近づき、サードインパクトを起こすつもりだったカヲルでしたが、そこにいたのは使徒とは別の生命体「リリス」。
そこでカヲルは、自分たちの生きる道がなくなったことを悟り、シンジに自分の命を消されることを望みます。
シンジは、ただ自分を裏切ったという感情だけでカヲルを追ってきますが、カヲルにとってはその理由はどうでもよかった。
「生と死は当価値」というセリフからわかるように、どちらかが選ばれる生命体だというだけのこと。
「自らの死こそが唯一の絶対的自由」というセリフもあり、カヲルは生きている以上は使命を果たさないといけない存在でもあるので、死ぬことでそれが終わることで解放されると考えている。
さらに、純粋に好きだったシンジに自分の最後を決めてもらえるのならば本望だったことあるでしょう。
シンジは、カヲルを追って来た時には興奮状態にあり、「何を言っているのかわからない」と言っていましたが、最後に初号機の手でカヲルを掴んだ時に数分間動かなくなります。
これを見ている時には、一瞬アニメの画が止まったかと思うくらい長いのですが、この間にシンジなりに色々なことを考えたという表現だと私は考えています。
その場面をあえて作画せず、静止させるという表現になっているために真相がわからなくなっているのですが、この時の結論として、シンジの手でカヲルの命を終わらせます。
シンジはどのような答えを出したのか?
カヲルの意図を理解したのかは描かれてはいませんが、その答えはこの静止のシーン。
これだけの時間をかけて考えて出した結論があれならば、安易なものではないはずですので、カヲルの意図を理解したのでしょう。
渚カヲルの正体は!?
作中でもわかる通り、結論は渚カヲルは「使徒」。
彼は、最後の使徒とされる第17使徒「タブリス」です。
ただ、限りなく人に近い使徒であるということ。
魂は第1使徒「アダム」のものであるため、第17使徒タブリスでもありながらアダムでもあるという少し解釈の難しい存在でもあります。
アダムを復活させるため、ゼーレがアダムの魂に人間の形をした肉体を与えた存在で、その肉体はセカンドインパクトの際にアダムから生み出されたと考えられている。
他の使徒とは違って、その肉体のままで戦うことはなく、戦闘能力にも乏しいが、ATフィールドは強力なもので空中浮遊ができ、アダムベースに作られたエヴァに魂がなければ遠隔で自在に操ることも可能。
ゼーレが開発した量産型機はカヲルのパーソナルを用いたダミープラグを使用していた。
渚カヲルはアダムの魂を持つ使徒であり、人類補完計画を遂行するためのゼーレの切り札的存在。
同様に、ネルフにとってはリリスの魂を持つ綾波レイが補完計画の切り札だった。
つまり、渚カヲルというのは第17使徒タブリスでありながら、魂はアダムそのものだということ。
アダムでもあり、タブリスでもあり、渚カヲルくんでもある。
しかし、本人にとっては、それらは人間がそう呼んでいるだけで、意味のない名前。
目的は、人類補完計画を完了させるための存在だったということです。
渚カヲルの正体の結論としては、アダム、カヲル、タブリス(使徒)のどれも正解となります。
最も確実だと言えるものは、「アダム」であるということ。
魂だけになったアダムが、渚カヲルという限りなく人間に近い肉体を持ち、使徒として降臨したという形が最もしっくりくるものです。
故に、渚カヲル=アダムということで結論付けていいでしょう。
名前に隠された秘密
これはもはや有名な話ですが、名前の由来自体は映画監督の大島渚からとったもの。
「渚」という文字は綾波レイの「波」と対にもなっている。
姓の「渚」を偏と旁で分けると
「シ者」となり、「シ者」⇒「使者」⇒「使徒」⇒「死者」
という言葉遊びが隠され、サブタイトルにも「最後のシ者」と使用されいる。
また、「カヲル」という名前は五十音順で1字ずらすと「オワリ」になり、「渚カヲル」のすぐ隣に「シ者オワリ」というものが存在している。