アニメ「龍の歯医者」を見た感想

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アニメ「龍の歯医者」を見てみました。

前編後編の二部構成から成っている作品で、すんなり入り込むことが出来ました。

今回は「龍の歯医者」について考察をまじえて感想を書き残します。

アニメ「龍の歯医者」は、あの大人気アニメ「エヴァンゲリオン劇場版」のスタッフが手掛け、原作・脚本は「舞城王太郎」さんです。

舞城さんの名前は初見でしたが、書籍のほうではそれなりに人気のある作家さんのようです。

では、アニメ「龍の歯医者」の感想です。

とにかく美しい

映像美は文句なしに美しいもので、音楽や物語の構成、使われている言葉なども全てが独特な世界観を創り出すもので、とにかく美しいですね。

日本人が大好きな世界といった感じで、心と神とのつながりや、命の儚さと美しさを見事の表現されています。

キャラクターも嫌みのないタッチで描かれていて、スムーズに引き込まれる感覚がありました。

音楽に関しても、ほどよい程度に仕上がっていて、静けさの使い方もまた日本人好みの路線でした。

というよりは、単純に私好みだったのでしょうね。

生きるということ

作中では、「キタルキワ」「来たる際」という言葉で、命が尽きる瞬間、生涯を終える時、つまり「死」をそのように表現しています。

これは、もしかしたら誰にでも当てはまることかもしれないし、気づくか気づかないかの違い、忘れているだけ、向き合っていないだけといったこともありのかもしれないなと感じました。

この作品と同じように、「鮮明にその時を知っている」とまではいかないにしても、この世に誕生した、今こうして生きているということは、必ずいつか死ぬ。

どんな生き方をしたとしても、誰もがみな確実に死へと向かっていき、残りの時間はカウントダウンで短くなっていくもの。

この生きることのテーマと、作品の演出は、あのジブリアニメの名作「もののけ姫」でも似たようなことが感じられます。

死から逃げ続けて生きるのか?

それとも、死ぬことがわかっているから今を懸命に生きるのか?

思い出せば、同じくジブリアニメの「ゲド戦記」でも、この「生きること」に主人公のアレンが苦悩し、テルーがその大切さを説いていましたね。

生きるということは、一体どういうことなのか?

それは、死ぬとはどういうことなのか?を考えるのと同義と言えます。

私なりの価値観では、やはり「生きること」とは「生きること」でしかないのではないかなと、この作品を通して再確認させられたような気がします。

それぞれの最期「来たる際」

ベルナールは、ずっと生きること、死ぬことに臆病になってしまっています。

しかし、作中では一度は死に、蘇りとして登場することから、「やり残されたことがある存在」として描かれています。

また、ベルの死に深く関わったブランコは、「死なずのブランコ」として生き続けます。

この「死なずのブランコ」は、全く怖れを知らず、敵からの銃弾が飛び交う中を、平気で歩いていくほど。

こういったところは、「中村天風」さんの逸話に似ています。

なぜブランコ死なないのか?恐れないのか?

それは恐らく、自らの「来たる際」を知っていたからではないでしょうか?

他の人たちのように、鮮明な映像として知っていたのではなく、潜在意識的にそのことがわかっていた、天運に任せていたのではないかなと思います。

故に、ブランコ本人は、「こんなところでは死なない」「死んだら死んだでそれがさだめ」という人間だったのでしょう。

つまり、それぞれのさだめがつながっていき、ブランコは神の領域にまで踏み込んだため、神の洗礼、自らの殺意によって生涯を終え、ベルはそれを自分の目で見届けたことによって、同時に人生に幕を下ろした。

これが、二人の来たる際だったということなのでしょう。

他にも、作中では様々なキャラクターが登場しますが、それぞれが背負っている宿命があり、「死」「来たる際」というのは、そのお役目を全うされたという意味合いを込めた表現なのかなと思いました。

人は、ただ「生きる」ことだけを目的としながら、ただ生き続けます。

そこに、何かの意味が見出せなくても、「生きている」とういことこそに価値があり、それが何かの意味になっていく。

その答えはわからなくても、生きていたという事実がそこにあれば、それだけで十分に宿命は果たした、役目は全うしたことになるのではないかなと思います。

これが、ベルが考え続けたことでしょう。

きっと、「その時」が来たとしても、おそらく「生きる意味」の答えなんて出ないはずです。

恐らくそこには何の意味もないでしょうから。

オープニングが大好きです!

アニメ「龍の歯医者」のオープニングの映像と楽曲が純粋に好きでしたね。

何度も繰り返し見てしまいました。

オープニング曲として使用されいているのは小沢健二さんの「ぼくらが旅に出る理由」でした。

色んなアーティストの方がカバーされている曲のようで、素敵な曲です。

「龍の歯医者」では静かな曲調で、美しい映像にベストマッチで素晴らしかったです。

最後に

アニメ「龍の歯医者」はとても素敵な作品でした。

命について、生きることについて描かれているため、心に響く作品となりました。

また、生きて行くこと、そして働くこととのつながりも納得させられるところがあり、私自身の気持ちも切り替わりました。

「死を恐れるな」

「生きることから逃げるな」

そんな言葉がどこかから聞こえてくるような感覚を覚えました。

楽なことばかりではないし、「何のために?」と思われる仕事も沢山あります。

それでも、つべこべ言わずに目の前のことをこなしていくことが、自らの力で生きることの意味を見出すことへとつながるのかなと思います。

このことを、心に強く刻み込みながら生きれば、愚痴や不平不満は不思議と出なくなっていくもので、ついこの前まで「嫌だ」「辛い」「苦しい」と感じていたことでさえも、何故だか生きる喜びへと変わっていきます。

この作品に出会えて、本当に良かったなと思います。

ここまで読み進めて頂き、本当にありがとうございました。

今日が素敵な一日になることを祈っています。

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