「四月は君の嘘」【原作漫画版】11巻(最終巻)あらすじ・ネタバレ・感想

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「四月は君の嘘」

最終巻・第11巻

ネタバレ・感想


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※以下からの内容はネタバレを含みます。

主なあらすじ

第41話「雪」

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東日本ピアノコンクールへ向けて、公生は紘子のもとで猛特訓中だった。

渡と一緒にかをりを見舞いに行った時、かをりが危険な状態にあることを知った。

 

完全に力を無くしてしまう公生。

 

心配した椿は公生を助けるように紘子に頼むが、公生はピアノどころか立ち上がることすらできない。

そして、愛する人をまた失う辛さがよみがえった。

 

 

(僕はただ)

(ピアノを弾いてお母さんに元気になってほしかっただけなのに)

 

 

(僕はただ・・・)

(恋をしただけなのに・・・)

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「どうして・・・こうなっちゃうの」

「もう、頑張れないよ」

 

渡が届けてくれたかをりからの手紙。

「カヌレ食べたい」

 

公生は再び見舞いへ行く。

暗い表情のまま病室へ行くと、かをりはいつものように明るい笑顔を見せた。

 

かをりをおんぶして、屋上でカヌレを食べる。

公生は音楽は大切な人を奪っていくからもうピアノとは向き合えないと話す。

 

「私がいるじゃん」

 

来る2月18日。

東日本コンクールの日。

 

かをりは手術を受けることを告げた。

 

最後まで必死にあがく。

無様にあがいて生きることに執着する。

 

それでも公生は今更弾くことは不可能だと言った。

そんなことができたら奇跡だと。

 

かをりは渾身の力で立ち上がり、ヴァイオリンを弾くしぐさを見せた。

そして、また崩れ落ち、公生にすがりついて涙した。

 

 

「私を一人にしないで」

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雪が降る中、公生の腕の中にいるかをりは美しかった。

そして、コンクール当日。

かをりは手術室へと入った。

第42話「アゲイン」

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手術室。

かをりは麻酔で眠りに入った。

 

コンクールの会場。

 

公生は廊下でひざをかかえたままで動かない。

 

これまで必死に練習し、完ぺきに仕上げてきた武士と井川が見事な演奏を披露。

だが、公生の状態は最悪だった。

 

紘子にもどうにもできず、武士と井川も心配していた。

 

 

「弾かなきゃ」
「弾かなきゃ」
「弾かなきゃ」

 

 

そして、公生の出番が回ってきた。

誰がどう見てもその様子はまともではなかったが、それでも舞台へと向かった。

 

 

(弾かなきゃ)

(ピアニストだから)

(約束だから)

 

 

しかし、鍵盤を目の前にすると、かをりとの会話が思い出され、そして辛い現実を思い出す。

 

 

 

「ひっちょ」

 

 

 

その独特のおきあしなくしゃみは椿だとすぐに気づいた。

そして、みんなが来ている。

 

みんなが自分を見ているということを思い出す。

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公生は静かに弾き始めた。

今ここにいるのはみんながいたから。

 

自分に人生に関わり、豊かにしてくれた人たち。

 

その人たちに応えるため。

悲しくてもボロボロでもどん底でも、音楽家だから弾くしかない。

 

公生の力強い演奏が、見る人を否応なく引き込んでいった。

 

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バラード第1番:ト短調op.23

第43話「バラード」

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公生は、みんなに応えるために感情をこめて弾いた。

 

 

母がくれた音。

渡りが気づかせてくれた音。

椿が見つけてくれた音。

武士や井川と競って生まれた音。

凪と一緒に作った音。

紘子さんが思い出させてくれた音。

 

 

一人じゃないと気づいた公生が奏でる音楽は、どんどん色づいていった。

 

自分の中にかをりがいることを何よりも感じていた。

そして、その思いが届くと信じ、必死になって弾いた。

 

かつてヒューマンメトロノームと呼ばれた有馬とは思えない演奏に会場が湧いた。

 

それはまるで愛の告白。

 

カラフルに色づく音楽。

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だが、それはどこか悲しげだった。

 

 

 

(病気なんて蹴散らしちゃえ)

(そしてまた一緒に)

(この舞台で・・・)

 

 

 

 

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「ありがとう」

 

 

 

舞台の上。

そこにはかをりがいた。

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かをりは今、手術室で眠っているが、公生のすぐそばにはかをりがいる。

 

 

 

そしてまた、同じ舞台で二人で演奏している。
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公生はそこに確かにかをりの存在を感じた。

 

 

 

 

 

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(待って)

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(行かないでくれ)

(僕をおいて行かないで)

 

 

 

 

 

 

 

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かをりの姿が消えると同時に、公生の演奏も終わった。

 

歓喜の声で湧きあがる会場。

 

 

すばらしいその演奏に感動し、多くの人が涙していた。

全てを出し切った公生は、涙を流しながらも前を向いていた。

 

 

 

 

(君に届いたかな)

 

 

 

 

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(さよなら)

 

 

雪の降る中、公生は一通の手紙を手にしていた。

『拝啓、有馬公生様』

 

最終話「春風」

 

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『拝啓、有馬公生様』

『さっきまで一緒にいた人に手紙を書くのは変な感じです』

『初めて君の演奏を見たのは5つの時』

 

 

それは、かをりの両親から受け取り、かをりから公生へ宛てられた手紙。

そこには、かをりが音楽と出会ったきっかけや、素直な気持ちがつづられていた。

 

5歳の時、当時通っていたピアノ教室の発表会で、ぎこちなく登場して椅子におしりをぶつけ、大きすぎるピアノに向かった一人の少年。

 

音を奏でた瞬間に、そのカラフルな音色に憧れとなった。

その少年が公生だった。

 

その時の演奏は素晴らしく、隣にいた子が泣き出したほど。

 

でも、憧れの人はピアノを弾くのをやめてしまった。

 

いつか公生と同じ舞台に立ち、ピアノを弾いてもらうために両親にねだってヴァイオリンを始めた。

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『同じ中学だと知った時は舞い上がりました』

 

 

どうしたら声がかけられるか悩んでも、みんなが公生と仲が良すぎてかをりが入るスペースがなかった。

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子供の頃に手術をして、通院も定期的にしていた。

中学の時に倒れてからは入退院を繰り返して、病院で過ごすことが増えた。

 

 

学校には行けず、待合室で両親が泣いているのを見て、自分の人生は長くはないのだと悟った。

 

 

 

『その時です』
『私は・・・』

『走り出したのです』

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それからかをりは好き勝手に生きることを決めた。

 

 

眼鏡はコンタクトに変えて、ケーキを好きなだけ食べ、譜面も自分の好きなように弾いた。

 

 

『そして、ひとつだけ』

 

 

『嘘をつきました』

 

 

 

 

『宮園かをりが渡亮太君を好きという嘘をつきました』

 

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『その嘘は、私の前に』

 

 

『有馬公生君』

 

 

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『君を連れてきてくれました』

 

自分は通り過ぎる人間で、おかしな禍根を残していくわけにはいかなかったので、公生を紹介してもらうことを椿には頼めなかった。

 

そして、椿は公生のことが好きなのはまわりのみんなは気づいてたこと。

気づいていなかったのは椿本人だけ。

 

かをりは、公生との思い出でいっぱいだった。

演奏家なのに、舞台の外のことで心がいっぱいだった。

 

 

『君はどうですか?』

 

『私は誰かの心に住めたかな?』

『私は君の心に住めたかな』

 

『ちょっとでも私のこと思い出してくれるかな』

 

『リセットなんかイヤだよ』
『忘れないでね』

 

『約束したからね』

 

『やっぱり君でよかった』

 

『届くかな』
『届くといいな』

 

『有馬公生君』

 

『君が好きです』

『好きです』

 

 

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『好きです』

 

 

『カヌレ全部食べれなくてごめんね』
『たくさん叩いてごめんね』

『わがままばかりごめんね』

『いっぱい、いっぱい』
『ごめんね』

 

 

『ありがとう』

 

手紙を読み終えた公生は、かをりにお礼を言いたかった。

そして、最後にかをりが宝物にしていたというものが同封されていた。

 

 

 

もうすぐ春がくる

君と出会った春がくる

君のいない春がくる

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感想

いやあ、すばらしいです!

何度読んでも最高です!

コミックスで最も素晴らしいのはこの最終巻ですね!

ここに全てが集約されている感じ。

結末は大体は予想通りなのに、ここまで感動する展開はほんとに素晴らしいです!

最後に病院でかをりとの会話。

音楽を通じて今生きていることと、それを支える人たちへの感謝。

関わる全ての人と、かをりという存在の大切さに気づく。

精いっぱいの力で表現しかをりへの想いを音楽として届ける。

それが、見る人全ての感動を呼ぶ。

そして何よりも、最後のかをりの手紙は反則級です。

もちろんうすうす気づいてはいながらも、かをりのついた嘘が明かされて公生も思わず『なんで!?』となってます。

ですが、それも気づいていないのは公生だけ。

さらに、手紙の内容でかをりは全ての気持ちをぶつけていますが、ところどころにかをり自身も気づいていることがわかる部分があります。

『約束だからね』

は、それを言ったら公生がなんて応えるのかがわかっているから。

だから、あの部分は公生の心の中の言葉との会話がうまくリンクしているわけです。

そして最後に、『ありがとう』と締めくくっています。

色々な意味で本当に感謝しているのでしょうね。

 

この作品は、かをりが残りの人生が少ないと言って力強く生き、過去に囚われて前に進めないでいる公生がいる。

本当に生きるということの意味。

そして、今ある生活の全てに感謝すべき幸せが沢山あること。

最終的には全てかをりにそれらのことを気づかされます。

公生は感情というものを取り戻したことで本来のカラフルな音を奏でることを可能にしていますが、それは深い悲しみがあるが故。

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同じ音楽でも、その人がそれまでにどのような経験をしてきたかによって、音の深さが変わるものなのでしょう。

経験といっても、ただ何かを沢山するだけの経験ではなく、感情を揺さぶられるような、心が大きく動くような経験をしてこそ、さらにカラフルで輝く表現へと成長できるのでしょうね。

音楽も、私たちの生きる人生そのものによく似ています。

辛い経験や悲しみを乗り越えてこそ、さらに強く、もっと大きな自分に成長することができる。

そしてまた前を向いて歩いていけるようになった時、未来はまたカラフルに色づき始めるのでしょう。

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